ジーニアスはティアが町に出ることにあまりいい顔をしなかった。


でも、いつまでも屋敷にこもるわけにはいかないし、正式に返事をした際にすぐにでも動けるようにしておきたかった。


心配しなくても、ティアが町に出るときは決まって同じ格好だ。


フード付きポンチョの中に髪を隠し、ポンチョの下は男の子の服を着て女とは悟られないようにしている。


追手がいないとはいえ、警戒を緩めるつもりはない。


自分の髪色はこの辺りでは珍しい上、目立つことはわかっている。いつものスタイルは追手だけでなくたちの悪い人さらいに会わないための用心だ。



ーそう、用心していたはずだった。