ジーニアスはそんなティアを見たあと瞳を一度伏せた。


再び瞳を開いたときには先ほどとはまったく異なった決意の光がそこに宿っていた。


何を言われるのだろうか。
胸がキュッと締め付けられ、ティアは手を胸にそえた。


言われることの予想は大体ついている。



(もうジーニアスが王都から出られないこと?それとも…もう一緒にいられないことかな…)



舞踏会が終われば、ティアとジーニアスを繋ぐものはなくなる。


ジーニアスはティアの依頼を受け、ティアはジーニアスのおかげで薬を解除でき、舞踏会に参加することができた。


レティシア様はジークを探す機会をくれた。



ーふたりには感謝している。



ジーニアスは「ひとりでどこかに行かないでくれ」と言ってくれたけど、これ以上望むのは贅沢なのかもしれない。



ー何を言われても受け入れよう。



ティアは覚悟を決めてジーニアスの言葉を待った。