そろりと視線を向けると、そこにあったのは彼女の着ていたドレス。


良く見るとそれに埋もれるようにして寝息をたてている子供がいた。


銀糸の髪。


髪に差し込まれた髪飾り。


長いまつげに艶のある紅色の唇。


舞踏会場で見た彼女をそのまま子供にしたような姿の幼い少女がそこにいた。


この顔には見覚えがあった。



「…まさかこんなところにいるとはな」



ーどうりで気になるわけだ。



小太りの男は納得したようにうなづいた。



ー何せ、自分は長年この娘を探していたのだから。



年のわりには体が小さいと聞いてはいたが、その姿は最後に彼女を見た日とまったく変わっていなかった。