薬品と恋心


(この人は似てるんだ。…ジーニアスと)



声も低いし、背丈も若干ジーニアスより高い。


ただその纏う雰囲気がとてもよく似ている。



(まさか…ジーク?)



ジーニアスを初めて見たときのことを思い出す。


あのとき、本当にジークがそこにいると思った。


会いたくて会いたくてたまらなかったその人が。


今隣を歩いている人はあのとき感じた感覚を呼び覚ます。



(本当にジークなの…?)



ティアはちらりと隣を歩く男を見上げた。


仮面の下に隠れてその表情は読み取れない。



ーあなたは、本当にジーク?



ーそれとも、私の勘違い?