「だいだい回れたかしらね」
しばらくしてからレティシアは足を止め、ティアを振り返った。
「あと一人、挨拶に行かなければいけないのだけれど…」
レティシアは指を頬に軽く当てて少し困ったような表情をティアに向けたあと、ジーニアスを見上げた。
レティシアの視線を追ってジーニアスを見上げると、複雑そうな顔をティアに向けてきた。
挨拶に行かなければいけないが、ティアを連れてはいけないということが雰囲気から読み取れた。
自分たちよりも身分の高い人物に会いにいくのだろう。
そんな場に貴族でもないティアがいるわけにはいかないのは当然のことだ。
「私は大丈夫ですから、気にせず行ってきてください」
ティアは心配そうに見つめてくるジーニアスに笑顔を向けて送り出した。
知らない人たちの中にひとり残ることに不安がないわけではないが、ジーニアスを困らせたくはなかった。

