「貴女はジーニアスが好きだと思っていたのだけど…早とちりしてしまってごめんなさいね」



「いえ…私こそ会えるかどうかわからないのに、ジーニアスに無理をさせてしまい申し訳ありません」



ティアが言い終わると同時にガタンと馬車が揺れて止まった。


目的地である舞踏会会場に着いたのだ。


ドアが開かれ、レティシアは腰を上げてそちらに向かう。



「いいのよ。…この舞踏会で貴女が想い人に会えることを願っているわ」



レティシアは肩越しにティアを一度振り返ったあと、優雅に馬車から地上に降りたった。


そして、振り返ることなくただまっすぐに会場に向けて歩き出したのだった。