ー行ってほしくない。



そんな勝手な考えが浮かんだが、それを口に出すのはためらわれた。


自分の過去の過ちを考えれば、そんなことは言えない。


せっかく元に戻る機会ができたのにそれを潰すわけにはいかない。


薬を解除し、成長することで彼女は幸せをつかむことができるかもしれないのだ。



ーティアの笑顔を曇らせたくはない。



ジーニアスは屋敷についたときのティアの笑顔を思い出す。


ティアはジーニアスに安心したような笑顔を見せてくれた。



ー少しは心配してくれたのだろうか?



たとえ違ったとしてもかまわない。


あの笑顔が守れるのなら、どんなことでもしてやりたい。


そんな自分がいるのも確かなはずなのに。