気づかれないためにはどうすればよいか?


追手は子供姿のティアしか知らないはずだ。


ならば、解除薬を使って成長してしまえば追手もティアだとはわからないだろう。


たとえ面差しが似ていると言われたところでシラを切りとおせばいいだけのことなのだ。


そのために解除薬がどうしても必要だった。


ティアは調合作業をしているジーニアスのもとに行き、レティシア様に舞踏会に誘われたこと、そしてそれに参加するには解除薬がどうしても必要なことを話した。


ティアは無理を承知で舞踏会までに薬を完成させてほしいと頼み込んだ。


ジーニアスは顎に手をあててしばらく何か考えたあと、ティアに視線を向けて何か言おうとして、やめた。


その瞳にさみしさと諦めの色を浮かべながらただまっすぐにティアを見つめてきた。