そのため、婚約は成立してはいない。


だけど、あの日から変わらずに心はジークのものだ。


念願かない、ジークに会えるかもしれないのに揺れ動いている場合ではない。


しかも、婚約者のいる人に。


ティアはパンッと頬を叩き、余計な考えを振り払った。


今は王都に行くことを考えよう。


そう心に決めて。