ー婚約が成立するのだ。


ティアは自分のリボンを、そしてジークは自分のスカーフを交換した。


幼いながらも交わした婚約の証だ。


ティアは赤いスカーフの端を指でなぞった。


そこにはイニシャルとともに鷹の紋章が刺繍されている。


貴族の場合は、その家ごとの紋章が交換しあう証に存在しなければならない。


ティアは習慣を知ってはいたものの、当時は幼すぎて、そこに家ごとの紋章が必要なことを知らなかった。