レティシアはジーニアスの部屋の前にいた。


コンコン、と一応ノックしてみるが返事はない。


部屋に鍵はかかっておらず、扉はすんなりと訪問者を受け入れた。


部屋には誰もおらず、ただ殺風景な空間が広がっている。


「…まだ調合室にいるのかしらね」



レティシアは必要最低限のものしか置かれていない部屋を見回した。



(あの子が舞踏会に行ってくれるってことを言いたかったのに…あら?)



部屋を見回していたレティシアの目が机の上に置かれていた一枚の紙切れに注がれた。



(なにかしら?)