薬品と恋心


「それで…どうかしら。参加していただけるのかしら?」



ジークに会えるかもしれないまたとないチャンス。これを逃す手はない。



「ぜひ行かせていただきます。でもあの…どうして私にこれを?私が参加してもいいものなのでしょうか?」



今のティアは舞踏会に参加できるような身分ではない。


伯爵令嬢という肩書きなど、今となってはないようなものだ。


ほとんど初対面といっていいような屋敷の主に誘われる理由がティアには思い付かない。




「あら、女なら憧れるものではなくて?」



レティシアはにこりと微笑んだ。



「それはまぁ…そうですね」



「それに、今回の舞踏会は大きなものなの。貴族だけではなくて、国に貢献している事業者の方もいらっしゃるとか。だから貴女も心配しなくてもいいわよ」



「そうですか。…あ」



「まだ何か心配なことでも?」



「私、ドレスって持っていなくて」



舞踏会に行くのだからドレスは必要だ。


しかしティアにはそんな高価なものを買うお金などない。


(せっかくのチャンス…無駄にはしたくない!!)