「君、誰?こんなところで何してるの?」
どこからか走ってきたのか息を切らしている。
「えっと、私は…」
「あっ、もう来たか!!」
「んぐっ!?」
話し出そうとすると、何かに気づいた男の子が私の口を手でふさいだ。
「ごめん、隠れて」
男の子は耳元で声をひそめてささやくと、花壇に隠れるように身を低くした。思わずティアも同じような態勢をとる。
何があるのだろうと、耳を澄ますと、少し離れたところから誰かを呼ぶ声がした。
声とともに足音が近づいてくると、男の子は身をこわばらせて息を詰めた。
その横顔には、この暑さのせいなのか、それとも緊張のせいなのか、汗が一筋滑り落ちていくのが見える。