ジーニアスはため息をつきながら机に積まれた本に目を向ける。


そこには二つの本の山がつくられている。


ティアが読んだものと読んでいないものがわけて積まれているのだ。


ティアが何を探しているのかなんて、本を見ればすぐわかる。


一見、なんの法則性もなく積まれているように思えるが、よく見れば解毒薬や解除薬のたぐいが重点的に読まれている。



「…やっぱりな」



ティアは薬の効果を消したいのだろう。


ジーニアスは本に手を触れながら、昔を思い出すように瞳を伏せる。



ージェンティアナ。



幼いころに出会った少女。


彼女の笑った顔しか思い出せないが、ティアは彼女によく似ている。



ー危険なことをさせたくない。



強い思いが沸き上がり、ジーニアスはぐっとこぶしを握りしめた。