薬品と恋心


ふいにコツン、という音が聞こえて、ティアは顔をあげた。


いつの間に来たのか、書庫の扉のところに少女が立っていた。


ふんわりと膨らんだつりがね状のワインレッドのドレスは裾が少し絞られており、そこから流れるようにフリルがのぞいている。そしてアップにした髪はリボンでゆるく結ばれていた。


見た感じは今のティアの姿とそうかわりないのに、肩に落ちている漆黒のおくれ毛が不思議な色香をかもしだしていた。



「はじめまして。ジーニアスが連れて来た方」



澄んだ声を響かせて少女は小さく笑みを浮かべた。



「はじめまして。おじゃましております」



ティアはすぐさま頭を下げてあいさつを返す。


この屋敷の子だろうか。


彼女のいる場所だけ異空間なような気がして、ティアは目が離せなかった。