静寂な空間にページをめくる音だけが響く。
屋敷の奥にひっそりとある書庫は、いつもと変わらず、静かな空間を保ってくれている。
ティアはこの静かなところが好きだった。
外にいるときは警戒を怠るわけにはいかず、常に気を張っていなければならない。
いつ追っ手が迫るかわからないため、滞在している宿屋ですら気を抜くことはできない。
しかし、ここは貴族の屋敷。
いくら追っ手といえど、うかつに手を出せる場所ではない。
いつしかティアにとって、この場所が唯一気がやすらぐ場所になっていた。
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