「なんで怒ってるのかわからないって顔してるな」



ーそうだよ。



ーだって、私はジーニアスと何も関係がないじゃない。



ーただ、ジーニアスの気まぐれで本を読ませてもらっているだけの下町の子供。ジーニアスが来るなと言えば、つながりがなくなる。



ーそれだけの関係なんだから。



改めて考えると悲しくなり、ティアは目を伏せた。



「…心配なんだよ!!」



ティアの頬を包み込むように触れながら苦しく絞り出すような声でジーニアスは言った。



「心…配…?」



ティアはゆっくりと瞳を開いた。


そこには苦しそうな表情のジーニアスがいる。


自分を本当に心配してくれているのがよくわかる。


こんな顔に出会ったのはいつぶりだろう。