切恋 〜涙の君に恋して〜


きっと先生は私が泣いていることに

気づいてくれたのだろう。

たまに漏れる嗚咽が聞こえないように

音楽の音量を上げてくれた。

その優しさも胸にしみた。

しばらくすると、

見慣れた景色が見えてきた。

家に着き、車から降りると、

來や光くんたちが迎えてくれた。

「舞!」

おりてすぐさま飛びついてくる來。

「あ、お前、俺よりも先に

舞に抱きつくな!」

光くんが、後ろで喚いている。

「光は東京で会えたんだから、

少しは來にも舞との時間を分けてよ!」