「もう、ムリ…。」
簡単に決意が揺らぎそうになる。
でも、戻れなくなる前に
言わなくちゃ…。
「…て。」
「え?」
「…別れてほしい。」
「え、な、なんで?」
戸惑いを隠しきれていない。
その表情(かお)を見ると、
胸が痛くなる。
「もう、嫌なの。
自分の時間がほしいの。
光くんとは、もう…。」
「俺のこと嫌いになった?」
光くんの弱々しい声が響く。
「…嫌い。
好きになったことない。」
傷ついて。
私のことを嫌いになって…。
「そっか。」
光くんの顔が見れなかった。
扉の閉まる音がやけに響いた。
遠くで花火が上がっている。