切恋 〜涙の君に恋して〜


「夏川くん。」

扉の横から声がした。

出てこなくてもわかる。

「聞いてたんだ。

___草壁。」

「…。

ねぇ、さっき言ったの本当?」

「…。」

なんて言えばいいかわからなくて

黙っていると、

「無言は肯定って捉えてもいいの?」

俺はなにも言えなかった。

否定も肯定もできない。

「帰ろ?」

手を出す。

俺はなにも言わずにスルーする。