「早く乗れ、アホ。」
アホ?!
この顔にアホと言われショックを受けた。
後ろに跨って、背の高い三浦くんに目一杯手を伸ばして傘を差す。
もしもこんなのあっちの世界でしたら騒ぎになるよ。
三浦くんが女の子と2ケツだなんて。
汗かいてるはずなのに背中から香水の匂いがほのかに香ってくる。
イケメンは臭いなんてあり得ないのかな…
なんて考えてたら自転車が止まった。
「着いた。」
慌てて降りて、見覚えのあるマンションに入る。
「お邪魔しまーす…」
「着替えさせて。
濡れたから。
……あんたも濡れたし着替えた方がいいな。」
そう言いながらどこかの部屋に入って行った彼をリビングの隅っこで待つ。
出てきたかと思ったら何やらパーカーのような物を投げられる。
「それで我慢して。」
「…ありがとう。
お借りします。」

