「ま…待って…!」

「ほら!行けっ!せーの!」

ドン!と背中を勢い良く押されて飛び出した下駄箱。

歩いて来た彼と目が合う。

三浦 晴人
背が高くて妙に整った目立つ見た目とフレンドリーで社交的性格は、学校中の隠れ憧れ的存在。

「…あ、おはよう八木さん。
髪切ったの?似合うね。」

「あ、おおおはよう!
えへっえへへ、ありがとう!」

どもりながらの返事にもニコッと微笑んでくれる優しさは、アイドルでしかない。

同じクラスになった時は泣きそうだった。

先に教室へ行ったのを見送ると、友人達が黄色い声を上げて出て来た。

「似合うね、だってー!!」

「良かったね!今日1日頑張れるね!」