ボールの音が止まり、私の腕にはあの時の感触。 「もう一回賭けてもいいよ。お前さえよければ」 手の中のボールは、ほんのり暖かかった。 「入ったら、お前はオレの所に来る。入らなかったら一樹の所へ行く」 また、萩原の顔は見えなかった。 暗闇で、私は自分の鼓動だけを感じる。 「入るわけないよ。ボール持つの、久し振りだもん」 「それでいいんだよ。オレもあきらめつくし」 萩原は私の手を引っ張り、ゴールの近くに立たせた。