「違うよ。
 下だよ,下!」


すると葵は子供のように目を輝かせた。



「すげぇ!!
 めちゃくちゃ綺麗っ」


「でしょ?
 雫の部屋に飾ってある写真の中に【ベランダから見える星】って題名のがあるの知ってる?」


すると葵はバタバタと中に入っていき数分して戻ってきた。



「見てきたっ
 なんか…いい写真だな。」


「うん。」


それからしばらく地上の星を眺めた。


葵と久々に二人きりで…手を繋いで。



「私ね…
 自分は地上の星の一部なんだって思ったんだ。
 何かで人はみんな輝ける星だって聞いたけど…
 私は星は星でも空じゃないなって。」


「そんなこと…っ」


「最後まで聞いて。
 みんな星っていったら空を見るでしょ?
 地上の星に気付く人は少ない。
 でも気付いてくれる人は必ずいるから。
 千香,実,拓海にお母さん,そして葵…あんたもね。」


そう,空じゃなくても見付けてもらえる。



「俺も地上の星かな。」


「じゃあ…記念日にはベランダでワインを飲もう?
 地上の星を眺めながら。」





            Fin