「葵っ!!」


思わず叫んだ。


まだ帰宅途中の学生やサラリーマンが通る道の真ん中で。



「せーちゃん!!」


そう呼んだ声は記憶より少し低くなってた。


見た目も少し大人びていた。


けど…“葵”だった。


大好きあの頃と変わらない葵だった。


駆け寄ってきた葵に抱きしめられて,私の頬に涙が伝う。


周りの人たちに見られてるけど気にしない。


だって幸せなんだもん。



「3年過ぎてんだけど。」


「たった数ヶ月じゃん。」


顔を見合わせ笑みを零す。


けど,それは一瞬にして泣き顔に変わる。



「好き…
 葵のこと大好きなのっ」


「初めてせーちゃんから『好き』って聞いた−っ
 」


「今までごめんね…」


「いいよ。
 そのかわり…一生離さないから。」


そういって落とされたキス。



「はじめてのキスは涙の味…?」


葵が泣きすぎだからだよ。


すると私の携帯と葵の携帯が同時に音を鳴らした。


【私より葵を取るの!?】


千香が何で知ってるの!?