実と音緒が子供みたいに騒いでうるさい。



「ねぇ…」


「「ん?」」


「二人とも進路決まった?」


音緒にも聞いたのはわざと。


ちゃんと音緒の口から聞きたいもん。



「一応。」


「まじかよっ
 俺まだなんだけど…」


凹むのはもちろん実。


…なんだけど音緒の様子が少しおかしい。



「俺美容師になりたいんだ。」


「じゃあ専門学校か?」


「まぁな。」


専門学校か…


音緒を羨ましいと思った。


ちゃんと夢があって。


でも,違ったんだよね……



「まぁ俺は就職だろうな。」


「えっ実が就職?」


「失礼な言い方だな。
 大体俺はおまえらと違ってもう数年勉強しようと思わねぇ。」


なんとも実らしい返答で。


なんだか悩んでるのが少し馬鹿みたく思えてきた。



「静は?」


「私はまだ全然。
 何にも決まってない。」


実は『そっか』とつまらなそうに言うとテレビに見入った。


音緒は何か言いたそうにしてたけど止めたらしく,実とギャーギャー騒いでいた。