音緒も悩んでるらしくあまり部屋から出てこない。



「音緒−っ
 お腹減った〜」


今日の当番は音緒。


まだ誰も帰って来てない家は静かで,何だか居心地が悪かった。


だから部屋に篭ってる音緒を引きずり出そうと考えたのだ。



「音緒−っ?」


呼びかけに返事がない。


どうしたのかと思い,勝手に入るとベッドの上で気持ち良さそうに寝ている音緒とルナ。


このマンションから後藤さんがいなくなってから,ルナはちゃんと帰ってくるようになった。


そしてほぼ音緒がルナを連れている。



「もうっ」


何だか起こすのが申し訳なくなり,部屋を出ようとしたとき,積み重なってる本に目が止まった。


“美容師になるために”


音緒が美容師…?


驚いた…なんてものじゃない。


聞いたことなかったし,興味があるようにも見えなかった。


でもそれより…


音緒がもう進路を決めてることに『追いていかれた』って気がした。