「お待たせ〜…
 あら,まだお名前聞いてなかったわ。」


「西園寺静です。」


「静ちゃんね?
 私は伊崎旭よ。
 で,私の娘の遊,高校一年生なの。」


“娘”


高校一年生。


葵の妹も確か…


まぁいい。


後で聞けば全部分かるはずだから。



「ママ,私せーちゃんと仲良くしたいなぁ思ってんねん。
 部屋で話してもええ?」


「いいわよ。
 静ちゃんいいかしら?」


「はい。
 遊ちゃんとは気が合いそうですから是非。」


にこっと微笑み,先に立ち上がった葵について行った。


2階の手前,階段を登ってすぐのところが部屋らしい。


中は生活感のないモデルルームみたいな綺麗な部屋だった。


ソファーに座った葵に対し,私はソファーを背もたれにするように床に座った。



「せーちゃん…」


困ったように笑う葵に,可愛くないなぁ,と思いつつも私はそっぽを向く。