「リビングで待っててね。
 ゆとりちゃん案内してあげて?」


言葉を交わすことなくリビングへ。


お互い向き合うようにソファーに座ると,俯いてしまった葵。



「はじめましてゆとりちゃん。
 お邪魔しちゃってごめんなさい。」


白々しく話しかけると葵は顔を上げる,けど目は反らす。



「……分かってるんだろ?」


「何を?
 ゆとり=葵だってこと?」


「せーちゃん怖い。」


怖くていいわよ。


今日何をしにきたのか分からなくなるじゃない。


プイッと顔を反らすと『後で全部話すから』と言われた。


そう言われて思い出した。


葵も何か抱えてる人だったって。


隠し事されてたとか思ったけど…当たり前だ。


私は葵の何だって話よね。


そんな奴に何話すのよ…



「私も後で言いたいことあるから。」


ちゃんと大切だって…好きだって言おう。


それから葵を受け止める。


そして一緒に歩いていくの。