「うわぁ−っ
 すごくいいとこだね!」


「まぁな。」


電車を降りてすぐ,見渡す限り自然でいっぱいなこの場所に私は目的を忘れてはしゃいでいた。



「早いとこ行くぞ。」


「はぁい。」


ここは音緒の故郷。


遡ること3日前…



「あのさ,今度の休みに付き合ってほしいとこあんだけど…」


珍しく下手に出ている音緒に,かなり驚いた。


…明日は嵐か?なんて真剣に思ったし。



「施設に行こうと思ってんだけど…一人じゃちょっと…」


思わぬ言葉にまた驚く。


理由を聞いたらもっと驚いた,と同時に嬉しく思った。


前に進もうとしているのがわかったから。


そして着いて行くと決めて,今に至る。