犬みたい…



「静に近付くなっ」


突然私の前に両手を広げ,葵との距離を縮めさせないようにする千香。


……最低野郎は葵のことなのね。


それにしても何事…?



「静,別のとこ行こ。」


珍しく低い声で話す千香に逆らうことなんて…私には出来なかった。



「で,話って?」


結局私たちが落ち着いたのは葵たちがいた教室の隣の隣。


黙々とご飯を食べる千香に私は恐る恐る声をかけた。



「うん…
 実の傷痕のことなんだけどさ。


 あれ元カノに刺されたんだって−…」