そんな状態のわたしを、彼は心配してくれた。
以前、みおりと一ノ瀬くんの3人で帰った時、
一ノ瀬くんに「水原は好きな人いるの?」
と聞かれたことがある。
一ノ瀬くんが好きだけど、そんなことが言えるはずもなく、いないよなんて誤魔化した。
そして今日の帰り道、
「とりあえず水原は、もっといい人がいるだろうし、別の人と付き合った方がいいよ」
なんて言われた。
一ノ瀬くんにそんなことを言われると、
優しい言葉のはずなのに。
棘があり、自分の心を引き裂かれるように感じた。
一ノ瀬くんにだけはそんなこと言われたくなかった。
一ノ瀬くんが好きだよ、
一ノ瀬くん以外にいい人なんていないんだよ、
それなのに一ノ瀬くんとは付き合えない。
だったらわたしはどうすればいい?
諦めるしかないんでしょう?
でも諦められない
だからこうやって忘れようとしてるんじゃん
そう思いながら、届かない想いに
帰りにひとりで泣いた。

