学校終わり、6人で目的地である道頓堀へと向かう。
その向かう途中で、小雨が降った。
わたしは折りたたみ傘だったし、傘をさすのがめんどくさかった。
いいや、少しくらい濡れても。距離的にも遠くないし。
そう思い、傘をささなかった。
すると隣にいた一ノ瀬くんが
「傘、ささないの?」
と言ってきた。
「うん、めんどくさいからいい」
と言うと、

彼は、持っていた傘を開き、わたしを傘に入れた。

後ろには4人が歩いている。
一ノ瀬くんには彼女がいるのに、こんなことしていいの?
すごく嬉しいよ、嬉しいけど・・・
「いいよ!大丈夫!」
なんて言っても、彼は全然気にしていない様子だった。


そういう優しさが、わたしの心をさらに掻き乱すんだ。