一ノ瀬くんとあまり関わったことがない始めの頃は、
変わった人だと思っていた。

それは2年の前期の定期試験の期間中のこと。
クラスの派手めな人たちが、お互いカンニングし合おうという話になった時のこと。
わたしに限らず、何人かはそんな言葉を聞かないふりをして無視をしていた。
そんなことをしたらだめだと思っても、伝えてもめんどくないことになりかねないし。
そう思って無視をしていた。
でも一ノ瀬くんはその発言に対して
「そんなことやめろよ、俺はそんなつまらないことしたくない。やるなら個人でやってくんない?」
と言った。
よくそんなことが言えるなあ。なんてその頃は思った。