「階段を登ってから少しジュースを飲んで、休んでからお参りに向かったけど、途中でおじいちゃんとはぐれてしまったんです。そして私の前にいた男の子にぶつかったんで謝ったら、そのお父さんらしき人が手を繋ぎなさいと言われたので悪い人ではなかったので、その男の子たちと手を繋いでお参りに向かっていたの、でもその男の子はなんだか怒った感じでいて、なかなか話しかけづらかったんです。」と言って一息入れたのでみんなはおれの方を見た、おれはなぜ見られているのかは大体予想はついていた、『その男の子』とは多分いやほぼ過去の俺だったんだろうと思った、あのときは緊張していたからそれが怒ったように見えたんだろう。 みんなは俺の方をまだ見ていた、そしてクスクスと笑い始めていた、仁美さんと静香さんまで笑っている、多分、孝介と憲一から話を聞いていたんだろう。俺は今になって、あの時に咲子ちゃんが、昔の俺の事を、どう思っていたのかわかったので、少し嬉しい反面、すごく恥ずかしくなってきた感じがした。 咲子ちゃんは、なぜ、みんなが、俺を見て笑っているかわからないようだ。多分 『その男の子』が俺だということには気づいていないようだ。
