初恋の女の子〜あの子にあえたなら〜

俺は「渡 咲子」と言う名前を聞いたことがあった、頭の中をフル回転させて考えた。そして思い出した、あのとき初恋の女の子と同じ名前だった、そしてその女の子の顔をよく見ると咲子ちゃん(あのときの咲子ちゃん)にそっくりだった、いや本人そのものだった。おれは度肝がぬかれた、祖母の時と同じようにいやそれ以上かもしれないくらいだ。憲一と孝介も口が空いた状態になっていた、おれと同じで度肝をぬかれているようだ。
目が点になっているおれたちをみて咲子ちゃんは「お兄ちゃんは誰なの?」と少し怒ったような感じで言った、まったくこの女の子は泣こうとする感じはなかった。俺は「お、お、沖田だよ、沖田 宗次郎だよ。」とかなり動揺していた。 その女の子は「後ろの人は?」と聞かれたので憲一と孝介も動揺していたが自分の名前を言った。 おれは自分に落ち着けと何度も心の中で唱え続けていた、本物の咲子ちゃんであるはずがない、それはないぞと思いながらもなんだか嬉しい気持ちがあった、ほんとうにあの初恋の女の子である渡 咲子ちゃんに逢えたような気がした。当時、逢いたくてもまったく会うことのできなかった初恋の女の子にあった感じがした。