それはずっと昔のことでまだこの神社は最初は鐘を鳴らすために作られたお寺のようなところだったそうでそこである時間ごとに鐘を鳴らす役目を任されていた時治というお坊さんがいた。その時治は修行をうけた立派な坊主だったが時間にはとてもだらしない坊主で毎日、鐘を鳴らすのが遅れてしまう坊主だった。 ある時、お寺の前で一人の女性が恋人を待っていた、時治は女性に声をかけると「馬の刻に私の恋人がここに来てくれるの」ととても幸せな顔で時治に微笑んだ。そして馬の刻の時間になったが時治は鐘をならそうとはしない、当時は日がずっと照らされた位置に木の棒をたて周りを円で囲んで時間を決めていたとも言われていた。 時治は大分たった頃に気が付いて鐘をならした。いつものことだが今回はまずかった。そして暫くして前にお寺で待ち合わせをしていたあの女性が泣きながら時治の方に向かってきた。とても恨めしそうな目をしてこちらを見ていた、そして時治にとびついてきた。「お坊さんがちゃんとした時間に鐘をならさないから私の愛しい人は死んじゃったんだ、とてもお坊さんが憎くて憎くて、お坊さんなんて死んでしまえ」といいながら時治を突き飛ばした。
