今も虚しい心を打ち消すためにすべて仕事にぶつけることがある、人生で一番苦しかった時もそうやってなんとか乗り越えてきた、それが今の自分の活力となり、前向きに一生懸命になれた、自分の心の虚しさとは裏腹に仕事をしているときは活気があるように自分で感じた、業績は思ったより延びなかったが人として一皮剥けたような気がした。 だからといって、明るくがむしゃらに仕事をしていても壁にぶつかったり、上司に怒られたりして自暴自棄になりそうになる事も少なくなかった、俺はそんなときに携帯につけている咲子ちゃんが完成しかけたミサンガを着けていたのでそれを眺めたり、夜空を見て癒されるようになった、虚しい風も吹いてしまうが癒されるのが不思議だ。最初の頃は見たくはなかった、寂しさで押し潰されるだけだったからだ、でもそれが人生から逃げていることだと立ち向かわなければならない事だと気づいた。それからはミサンガが自分にとっての癒しへと変わっていった、俺はその癒しが咲子ちゃんに励ましてくれるのだと思った、俺の事を見守っていてくれているんだと思った、虚しい風は吹いていたがいつの間にか咲子ちゃんの思い出が活力の源になっていたのだ。
