今までの思い出を忘れる位、初めて父さんが憎いと思った
俺に何も言わず、母さんにこんな辛い思いをさせた父さんが
「湊は…」
俺が強く手を握っていると、母さんがしゃべりだした
「湊は、お母さんを、一人にしないよね?」
弱い母さんの言葉だった。
「一人に、しない!絶対!」
こんなに弱ってしまった母さんを俺が支えるんだ
それからは今までと変わらない生活が始まった
ただその生活の中に父さんはいなかった
中学になって、母さんとの二人暮らしも慣れた
「行ってきます!」
「行ってらっしゃい。気をつけてね?」
「うん!」
いつも通り玄関で笑顔の母さんに見送られた
でも、この時母さんの顔を見るのが最後なんて考えてもいなかった…

