帝国湯へ、いらっしゃい


「お兄ちゃん」とタケさんに声をかけられた

「はい」


「その腕にしてるの何だ?」

ああ

「ロッカーの鍵ですけど」

「誰も盗まないから鍵いらねえぞ」


え゛


「そのために番台がいるんだろ?」

そうなのか!?


「あ?どうした?」

「いえ……ちょっとしたカルチャーショックです」


「はあ?」



ビックリだ

そうか、だからあんなにロッカーが空いてて
カゴばっかりに服があったんだ


納得……したような、してないような

そして謎は増えるばかり



「あの、タケさん?」

「あ?」


「なんでシャンプーとか色々と大きいんですか?」


全部、家庭用サイズではないか


「そっちのが得じゃないか」


いや、そうじゃなくて


「持ってくるのが大変ですよね?」

「置いていってる」


はい?


「居酒屋でボトルキープとかあるだろ?あれと一緒だ」

「え?置いていってもいいんですか?」


「ああ、常連は皆そうだぞ」


ちょっとかっこいい、と思ってしまった

シャンプーやボディーソープを置いていくことが常連なのか