「琴、龍ちゃんてば菖蒲鳴らせねえんだぜ」
もう!いちいち言うかね
琴ちゃんは「ださっ」と言ってから
ピーーーー
マジか
「いい音だすなあ」
「まあね」
くっそー俺だって
ヒュ~…
情けない音しか出ない
「ま、頑張って~」と言ってから裏に行っちゃった
……っていうか
浴場にも普通に入るんだな…
もう、いちいち驚くのも疲れてきた
それから、風呂を出て
縁側でタケさんと将棋して
琴ちゃんと少し話をしてから家に帰った
なんだか、すっかり定着してきた
今までに縁のなかったモノとか人とか
こうやって輪は広がっていくんだなあ……と
ぼんやりと思う
まさか、この年で新しい友達ができるなんて
それも自分より40歳以上も年上の友達
父親よりも年上だ
祖父と孫の年回りだ
悪くない

