ま、気をとりなおして湯船に入ろ…
「おお」
湯船には大量の菖蒲
匂いを嗅いだ
クンクン
クンクン
クンクン
「何してんだ?」
「なんか、この匂い病み付きになる」
「香り、と言え。風情がなくなる」
なるほど
ゴンちゃんが菖蒲を顔に近づけたら
ピーって鳴った
「今の何?」
「笛」
えー鳴るんだ!?
「ちょっと教えて」
「お前は何も知らないんだなあ」
……すんません
ゴンちゃんに教わった通りにするけれど
「苦い」
「下手な証拠だ」
ムキー
あー口の中が葉っぱの味だ
虫になった気分だ
ムキになって菖蒲と格闘してたら
バン!と音がした
ん?
「!!琴ちゃん!?」
「ぬるい?」
へ?
そしたらゴンちゃんが「丁度いい」と答えて
「じゃ、ガスにするわ」と言った
会話がサッパリ分からないが
そんなことより
「どこから来た?」
「裏」
……は?
「裏とこのドアがつながってるの」
その扉は裏に行く扉だったのか
知らなかった

