帝国湯へ、いらっしゃい



「さて、汗もひいたし、そろそろ帰るわ」とタケさんは帰って行った


俺もそろそろ、帰ろうかと時計を見たら

なんと21時少し前


俺、どんだけここにいたんだ………



番台のおじさんに「また来ます」と告げたら

「明日は休みだからな」と言われた



毎週月曜日は休みらしい

「分かりました」




夜道を歩く

まだ体がほてってる気がする



すごい

すごい

すごい!



何がすごいって聞かれても答えられないけれど



風呂屋なんて、すごく日常的な存在じゃないか

でも全然違った


むしろ非日常的だった


あの場所だけ、何かが違った
あの場所だけ、空気が違った



仕事のこととか
人間関係のこととか


あの場所にいる間は全部、忘れてた





何が違うのか、何が楽しかったのか、何がすごかったのか


何一つ答えられないが




………また、行こうって思った