帝国湯へ、いらっしゃい


***

ピンポーン

インターフォンの音で目が覚めた

時計は11時



……もう昼じゃないか

ドアの前には琴がいた


「おはよ」


「どうせ、ロクなもの食べてないと思って」
と、タッパーをローテーブルに並べていく


「作ったのはお母さんだけど」って笑った

「ありがと。貰うよ」



台所でコーヒーを入れる
コーヒーは琴に渡して
俺は箸を進める


「ミナコさん料理うまいね」

「そう?」


………


「急にどうして来た」

「…うん」


「元気ないな、って」

「そんな風に見える?」

「……うん」


そっか


空になったタッパーを置いて
自分のコーヒーを持ってきた


「別に、元気だよ。だから心配しなくていい」