帝国湯へ、いらっしゃい



「タケが気にしてた」

「何を?」


「龍ちゃんと琴のこと」

「……何て言ってた?」


「早く結婚すればいいのにって」

笑ってしまった


「相変わらず、気が早い」


……………

「ゴンちゃんから見てさ、俺、強くなったかな?」

「将棋?」


「うん」

「どうだろな。やらねえから分かんねえ」



結婚とか未来とか

それ以前に

目の前の課題も出来てないのに



「賭け、しないかって」

「……誰が?」


「琴が、賭けをしたいみたいで」

「…………」


「俺は乗り気じゃないっていうか、嫌なんだけど」

「……何を賭けてるんだ?」



………何を


「それが、分からなくてさ。
……俺は賭けるものなんかないから

勝手に琴が俺の賭けるものを決めたんだけど」


「……………」


「琴の決めた、俺の賭けるものも嫌だし……
琴が賭けるものも知らないんだ」

「……………」



「だから、やりたくないんだけどさ」

「……………」



「どうしても、やりたいみたいなんだよね」