帝国湯へ、いらっしゃい


――

次の日は晴れだった


仕事を終えて銭湯に行った

ゴンちゃんに会いたかった



今日は告別式でゴンちゃんは行ってるはずだから


引き戸を開けたら番台に琴がいた

「…龍ちゃん」

「うん」


これだけの会話で充分だった

「琴、行ったのか?」

「お父さんと番台を交代してから…」


「そっか」



「ゴンちゃんが待ってるよ」

「ん。行くわ」



縁側にいたから

黙って隣に座った



ゴンちゃんと俺の間にはコーヒー牛乳



「龍ちゃん、風呂は?」

「ゴンちゃんだって、まだ入ってないよね?」


「「………」」



「今日はいいか」

「うん」




二人で何してるんだろうね

銭湯に来たのに

風呂にも入らないでさ



何の会話もなく

ただ、縁側に座ってるだけでさ

ただ、庭を見ているだけでさ




おかしいよね