「モカちゃん…」

彼女は伊東 モカちゃん。中1。

可愛くて気が利く完璧な女の子。サッカー部のマネージャー。

「彼方先輩っ♪お疲れ様です、とってもカッコ良かったですよー!」

モカちゃんはドリンクとタオルを取り出して平井君に差し出した。

「いつも、ありがとうね」

ズキッ…

胸が…痛い…
あたしだって…ドリンクとタオルを彼方先輩にさりげなく渡したいのに…

「いーえ♪」

モカちゃんはスキップしながらあたしの元へ嬉しそうに来た。

「真優先輩♪グズグズしてると私が彼方先輩…取っちゃいますよー?」

あたしの耳元で呟き、妖しい笑顔を浮かべてどこかへ行ってしまった。