キミの主導権、僕のもの





「水沢くん、私っ、そろそろ限界で……っ」



「うっさい。ガマンして。野上さん足りなくて死にそうなの」



「……っ」





水沢くんのこのセリフは、素で言うんだからタチ悪いよっ。




こんなこと言われたら、これ以上抵抗できなくなっちゃう……。





「あのね、水沢くん」



「なに」



「クラス別になってさみしいの、私もおなじだよ?」



「……さみしいのもあるけど、それだけじゃない」




……?




それだけじゃない、って?




思わず首をかしげると水沢くんはチッと短めに舌打ちをした。




な、なぜに舌打ちを……。




「僕が心配なのは、獅童 汪爾のこと。アイツ、フラれたくせにまだキミにしつこく構ってきて。それにキミも、隙ありすぎ。ほんと無理。学校爆発すればいい」




……ば、爆発って。




サラッとおそろしいことを口にした水沢くんに苦笑いを浮かべた。




「で、でも汪爾くんはほんとうにただの友だちで……」



「ほら、その“汪爾くん”て呼び方。僕は名字呼びなのにアイツだけ名前呼びとかおかしい」