「あ、そういえば柚子って呼んでもいい? 星香、ひとつ下だけど」
「え、あ、うん。どうぞ」
星香ちゃんに対してモヤモヤした感情を抱いてるからか、そんなよそよそしい返事になってしまって。
ふたりが仲いいところを、あまり見たくないって思ってしまう。
……って。
私、すごくひどいこと思ってる……!
星香ちゃんは水沢くんの従妹で、仲がいいのは当たり前。
だから、仲いいふたりを見たくないとか、そんなの思っちゃダメダメ!!
と、自分に言い聞かせていると部屋のドアがノックされた。
「佳人様、少しよろしいでしょうか?」
扉越しに橘さんの声が聞こえてくる。
水沢くんは「今行く」と返事をすると、私と星香ちゃんを残して行ってしまった。
「……」
「……」
部屋には私と星香ちゃんのふたりきりで、なぜだか気まずい雰囲気が流れる。
「ねえ、」
沈黙を破ったのは、星香ちゃんからだった。


