「お、お邪魔しますっ」





何度来ても慣れない広さに圧倒されながら水沢くん宅へ入る。




「柚子様、たぶんしばらくは大変でしょうけど……応援してます」



「え?」




大変?




応援て?




橘さんが哀れむようにガッツポーズを私に向けてくるけど、意味が分からない。




ど、どういうこと……?




「では、後ほど紅茶お持ちしますので柚子様は佳人様とお待ちください」



「あ、はい。ありがとうございます」




水沢くんの部屋の前まで着くと橘さんは私ににこりと微笑み、背を向けて行った。




水沢くん、部屋の中にいるってことだよね?




なんで今日は別で来たのだろうか。




頭にはハテナマークだらけ。




ーーコンコンッ




水沢くんに教えてもらえばいいかと思い、ドアをノックすると中から足音がこちらに向かってくるのが聞こえた。